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【VALORANT】なぜJettのピック率は半減したのか?VCT 2025〜2026のデータからデュエリスト枠の構造変化を分析する【VALORANT×データ分析】

目次

導入:Jett衰退の裏で何が起きているのか

はじめに

こんにちは、家系です。今回はJettのピック率低下とデュエリスト枠の構造変化に関する分析を行います。

2025 Kickoffから2026 Kickoffに至るまで、かつてデュエリストの代名詞だったJettのピック率は大幅に下落しました。全リージョン平均で28.77%だったピック率は、2026 Kickoffでは14.39%まで低下しています。その一方でYoruは24.76%から59.33%へ急上昇し、Stage 1で登場したWaylayは2026 Kickoff Americasで53.25%に達するなど、デュエリスト枠の顔ぶれが様変わりしています。

ここで浮かぶ疑問は、「これは本当にデュエリスト枠の多様化なのか、それとも単にJettからYoru・Waylayへ王座が移っただけなのか」という点です。そこで今回は、ピック率の時系列推移・集中度指数(HHI)・マップ環境・エージェント間の代替関係という4つの切り口から、Jett衰退の構造とデュエリスト多様化の実態を定量的に検証します。

使用したデータ

本分析では、Champions Tour 2025の全ステージ(Americas / EMEA / Pacific Kickoff、Stage 1、Stage 2)、Masters Bangkok、Masters Toronto、VALORANT Champions 2025、およびVCT 2026 Kickoff(Americas / EMEA / Pacific)のエージェントピック率データとマップピック率データを使用しています。対象大会は計15データポイント(リージョン×大会の組み合わせ)です。

なお、Waylayは2025 Stage 1から登場したエージェントであり、Kickoff期およびMasters Bangkokのデータには含まれていません。集中度指数(HHI)の算出にあたっては、各大会×リージョンにおけるデュエリスト全エージェント(Raze、Jett、Yoru、Neon、Iso、Phoenix、Reyna、Waylay)のピック数を用いてシェアを計算しています。


分析:デュエリスト多様化の構造を4つの視点から検証する

分析① デュエリスト主要5エージェント時系列推移

仮説:Jettの低下とYoru・Waylayの上昇は同時進行しており、デュエリスト枠は「1強体制」から「複数エージェント体制」へ移行している。

Jett・Yoru・Raze・Neon・Waylayの5エージェントについて、各大会での全リージョン平均ピック率(International大会はそのまま)の推移を確認します。

大会JettYoruRazeNeonWaylay
2025 Kickoff28.77%24.76%44.69%8.87%
Masters Bangkok16.67%46.43%39.29%8.33%
2025 Stage 123.95%39.30%16.74%19.82%6.47%
Masters Toronto18.64%31.36%33.90%25.42%1.69%
2025 Stage 218.47%33.82%29.43%30.17%5.33%
Champions 202511.96%51.09%21.74%21.20%24.46%
2026 Kickoff14.39%59.33%16.64%23.16%39.24%
デュエリスト主要5エージェントの全リージョン平均ピック率推移(2025 Kickoff〜2026 Kickoff)

わかること

Jettは2025 Kickoffの28.77%から2026 Kickoffの14.39%へ、14.38pp低下しました。一方でYoruは同期間に24.76%→59.33%と34.57ppの急上昇を記録しています。Razeも44.69%→16.64%と大幅に下落しており、Jettと同様にピック率を落とす側に回りました。NeonはStage 1以降19〜30%帯で安定推移し、WaylayはChampions 2025で24.46%、2026 Kickoffで39.24%と急成長しています。2025 Stage 2ではYoru・Raze・Neonが30%前後で並ぶ「三つ巴」の状況が生まれており、時期によって構造が異なることが読み取れます。

仮説判定:部分的に支持。Jettの低下とYoruの上昇は明確に同時進行していますが、「複数エージェント体制」が安定しているかは時期によって異なります。Stage 2では多様化が見られた一方、2026 KickoffではYoruとWaylayの二強構造が形成されつつあり、単純な多様化とは言い切れません。次の分析で集中度指数を用いてこの点を定量化します。

分析② デュエリスト枠HHI(集中度指数)の時系列推移

仮説:HHIは2025年を通じて低下し続けており、デュエリスト枠は一貫して多様化している。ただしリージョンによって進行度に差がある。

HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)は市場の集中度を測る指標で、各エージェントのピック数シェアを二乗して合算します。値が1に近いほど1エージェントへの集中を、0に近いほど分散(多様化)を意味します。まず大会ごとの全リージョン平均HHIの推移を確認し、次にリージョン別の構造差を検証します。

大会全リージョン平均HHI前期差
2025 Kickoff0.2979
Masters Bangkok0.2847-0.0132
2025 Stage 10.2229-0.0618
Masters Toronto0.2397+0.0168
2025 Stage 20.2221-0.0176
Champions 20250.2411+0.0190
2026 Kickoff0.2580+0.0169

続いて2026 Kickoffのリージョン別HHIを確認します。

リージョンHHI最高シェアエージェントそのシェア
Americas0.2708Waylay37.27%
Pacific0.2673Yoru44.14%
EMEA0.2359Yoru35.52%
デュエリスト枠HHI推移:全リージョン平均およびリージョン別(値が低いほど多様化)

わかること

デュエリスト枠のHHIは2025 Kickoffの0.2979から2025 Stage 2の0.2221まで一貫して低下し、この期間には確かに多様化が進行しました。しかしChampions 2025以降は再び上昇に転じ、2026 Kickoffでは0.2580まで戻っています。噛み砕いて言うと、2025年中盤にはYoru・Raze・Neonの三つ巴でデュエリスト枠が最も多様化しましたが、2026年に入るとYoruとWaylayの二強体制が形成され、集中度が再び高まっているということです。リージョン別ではEMEAが0.2359と最も分散的で、AmericasはWaylay偏重(37.27%)、PacificはYoru偏重(44.14%)により、それぞれ異なる形で集中が進んでいます。

仮説判定:部分的に棄却。HHIは2025年中盤まで低下しましたが、その後は上昇に転じており「一貫した多様化」は起きていません。リージョン間の構造差は明確で、EMEAが最も多様化が進んでいるという点は支持されます。

分析③ マップ環境から読み解くJett衰退の複合要因

仮説:現行マッププールはロングレンジのサイトライン(射線)が少ないマップが上位を占めており、Jettの強みであるオペレーター運用に構造的に不利な環境になっている。

Jettの最大の差別化要因は、オペレーター(OP)との親和性です。ダッシュによる即時離脱が可能なJettは、ロングレンジの射線が豊富なマップでこそ真価を発揮します。ここでは現行のマップピック率を確認し、マップ環境がJett衰退にどの程度寄与しているかを検討します。

マップピック率OP適性
Haven21.53%中(一部ロングあり)
Bind15.85%低(テレポート主体の近距離戦)
Split13.92%中(ミッド制圧に有効)
Corrode13.12%低〜中
Abyss9.79%
Pearl9.39%中〜高
Sunset7.15%低(狭い通路中心)
Breeze6.14%高(広大なオープンエリア)
マップピック率構成(上位8マップ)とオペレーター適性の対応

わかること

OP適性が「高」のBreezeはピック率わずか6.14%で、マッププール全体の中で下位に位置しています。一方で最も人気の高いHaven(21.53%)やBind(15.85%)は近〜中距離の交戦が多いマップであり、OPよりもライフルやショットガンが主体の戦闘が発生しやすい構成です。マッププール上位4マップ(Haven・Bind・Split・Corrode、合計64.42%)のうち、OPが明確に有効と言えるマップはなく、Jettの差別化ポイントであるOP運用が活きる場面が構造的に限られていることがわかります。

仮説判定:支持。Jett衰退はエージェント間の相対的な強さの変化だけでなく、OP運用に不利なマッププール構成という環境要因が複合的に作用していると考えられます。ただし、これはJett衰退の「十分条件」ではなく「促進要因」の一つとして位置づけるのが妥当です。

分析④ Jett vs 各デュエリスト散布図:誰がJettのシェアを奪ったのか

仮説:Jettのシェアを最も吸収したのはYoruであり、両者には強い負の相関がある。

全15データポイント(大会×リージョン)において、Jettのピック率と他のデュエリスト4エージェント(Yoru・Raze・Neon・Waylay)のピック率の相関係数を算出しました。

組み合わせ相関係数 (r)関係の解釈
Jett ↔ Waylay-0.67最も強い負の相関(代替関係大)
Jett ↔ Neon-0.54中程度の負の相関
Jett ↔ Yoru-0.53中程度の負の相関
Jett ↔ Raze+0.36弱い正の相関(同時に衰退)
Jettピック率と各デュエリストピック率の散布図(全15データポイント)

わかること

Jettのシェアを最も強く吸収したのは、意外にもYoruではなくWaylay(r = -0.67)でした。NeonとYoruはともにr ≈ -0.54前後で中程度の負の相関を示しています。一方、Razeはr = +0.36の正の相関を示しており、JettとRazeは「競合」ではなく「同時に衰退した側」に分類されます。噛み砕いて言うと、Jettが弱くなった環境ではRazeも同様に弱く、その空いた枠をWaylay・Neon・Yoruがそれぞれ異なる強みで埋めたという構造です。

仮説判定:棄却。Jettのシェアを最も吸収したのはYoruではなくWaylay(r = -0.67)です。Yoruの相関係数は-0.53であり、Neon(-0.54)とほぼ同水準にとどまっています。Jettのシェア喪失は特定の1エージェントへの移行ではなく、Waylay・Neon・Yoruの3エージェントに分散的に吸収されたと解釈するのが適切です。


考察:分析結果から考えるデュエリスト多様化の実像

4つの分析を通じて明らかになった仮説の判定結果を整理します。

仮説判定根拠
Jett低下と複数エージェント台頭は同時進行部分的に支持Stage 2では三つ巴、2026 Kickoffでは二強化
HHIは一貫して低下し多様化が進行部分的に棄却Stage 2まで低下→Champions以降再上昇
マッププールがJettのOP運用に構造的不利支持OP適性高マップ(Breeze)は6.14%のみ
Jettシェアの最大吸収先はYoru棄却最大吸収先はWaylay(r=-0.67)

ここまでの分析を統合すると、デュエリスト枠の変化には明確な「2つのフェーズ」が存在していたことが浮かび上がります。

第1フェーズは2025 Stage 1からStage 2にかけての「真の多様化期」です。この時期、HHIは0.2979から0.2221まで低下し、Yoru・Raze・Neonが20〜34%帯でそれぞれシェアを分け合う状態が実現しました。Jettも18〜24%を維持しており、4〜5エージェントが競争的に共存するデュエリスト枠の黄金期と言える時期です。

第2フェーズはChampions 2025から2026 Kickoffにかけての「再集中期」です。WaylayがChampionsで24.46%に急成長し、2026 KickoffではAmericasで53.25%に達しました。同時にYoruもPacificで77.11%という圧倒的なピック率を記録しています。HHIは0.2580まで戻り、Kickoff期の0.2979には至らないものの、多様化の後退が数字に表れています。

Jett衰退の要因についても単一ではなく、エージェント間バランスの変化(Yoru・Neon・Waylayの台頭)とマッププール構成の不利(OP適性マップの低ピック率)が複合的に作用しています。Razeとの正の相関(r = +0.36)は、両者が同じ環境変化の影響を受けて同時に衰退したことを示唆しており、「旧世代デュエリスト」としてのJettとRazeが、エントリー性能やユーティリティの豊富さで勝る新世代エージェントに置き換えられつつあるという構造が読み取れます。


結論:Jett衰退が映し出すデュエリスト枠の未来

この記事のまとめ

この記事のまとめ

Jettのピック率は2025 Kickoffの全リージョン平均28.77%から2026 Kickoffの14.39%へ、14.38pp低下した。

デュエリスト枠のHHIは2025 Stage 2で最低値0.2221を記録し「真の多様化」が一時的に実現したが、2026 Kickoffでは0.2580に再上昇し、YoruとWaylayの二強体制が形成されつつある。

マッププール上位4マップ(合計64.42%)にOP適性が高いマップは含まれず、Jett衰退を構造的に促進する環境となっている。

Jettのシェアを最も吸収したのはWaylay(r = -0.67)であり、次いでNeon(r = -0.54)、Yoru(r = -0.53)が続く。RazeはJettと正の相関(r = +0.36)を持ち、同時に衰退した側に分類される。

「多様化」と「王座交代」は時期によって異なり、2025 Stage 1〜2は多様化、Champions 2025〜2026 Kickoffは王座交代のフェーズと位置づけられる。

さいごに

個人的には、2025 Stage 2のデュエリスト枠が最も面白い状態だったと感じています。Yoru・Raze・Neonが30%前後でしのぎを削り、チームごとのカラーがデュエリスト選択に色濃く反映されていた時期でした。2026 KickoffではYoruとWaylayの支配力が増しており、再びメタが固まりつつある兆候が見えます。

皆さんは、この「再集中」の流れはこのまま続くと思いますか? それともパッチやマッププール変更によって再び多様化が訪れるでしょうか。今後のStage 1でHHIがどう動くかに注目です。それではまた次回。

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