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【VALORANT】周波数データを用いたファントム人気スキン傾向分析

目次

導入: VALORANTの主要武器であるファントム人気スキンの銃声には特徴があるか?

はじめに

こんにちは、家系です。今回はファントムの銃声に関する分析を行います。

ファントムを始めVALORANTで使うことのできる武器にはスキンを変えることで見た目や銃声、リロードモーションを変更することができます。中でもファントムはオニファントムやリコンファントムなど明確に人気スキンが存在する武器の一つです。

武器スキンの人気を決める重要な要素として「銃弾が当てやすいと感じる銃声音」が挙げられます。銃声が変わることで弾の当てやすさに変化があることは多くの人が感じていると予想しますが、なぜ当てやすいのか、どのような銃声が当てやすいと感じるのかについては、事実に基づいた回答が少ないと考えています。

また実際似たような銃声を持つスキンでも人気に大きな差があることがあることから、当てやすいと感じる音には様々な要素が複雑に絡み合っていることが考えられます。

そこで複雑な要素を耳だけで聞き分けることは難しいため、今回は武器スキン毎の銃声から取得した周波数データを使用して「当てやすいスキン・人気のスキンの銃声には傾向があるのか?」を分析したいと思います。その中でも今回はファントムに注目して分析を行います。

以前同様の分析をヴァンダルでも行っていますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。またファントム人気スキンであるオニファントムとリコンファントムに注目した分析も行っているのでそちらもぜひご一読をお願いします。

分析: 統計的手法によるファントム人気スキンの周波数データ分析

使用したデータ

今回はVALORANTのゲーム内で確認できる「コレクション」から各スキンのサンプル映像で流れる銃声を録音し、各周波数(Hz)の大きさ(デシベル)をテキストデータに変換したものを使用します。なお、各スキンの銃声は単発時のものを使用しています。

対象となるファントムのスキンは以下です。(()内は図表内の表記)

使用したファントムのスキン(22種類)
  • オニ(oni)
  • リコン(recon)
  • ミストブルーム(mystbloom)
  • スペクトラム(spectrum)
  • プロトコル 781-A(protocol)
  • Champions 2022(champ22)
  • ブラストX(blastx)
  • プライム(prime)
  • ネオフロンティア(neo_frontier)
  • リーヴァー(reaver)
  • イオン(ion)
  • RGX 11z-Pro(rgx)
  • プライモーディアム(primordium)
  • ルイネーション(ruination)
  • ガイアズ・ヴェンジェンス(gaias)
  • センチネルズ・オブ・ライト(sentinels_of_light)
  • メイジパンク(magepunk)
  • レディアント・クライシス(radiant_crisis)
  • Champions 2024(champ24)
  • ノクターナム(nocturnum)
  • ドゥームブリンガー(doombringer)
  • アラクシス(araxys)

また各スキンの人気を表す指標はhttp://tiermaker.comを参考に下のように割り振りました。

SSからCまでTierを割り振り()内の数値に対応させている。

※Champions 2024、ノクターナム、ドゥームブリンガー、アラクシスは比較的新しいスキンはtiermaker.gg含まれていなかったためTier対象外としています。

※ソヴリン、グリッチポップ、レディアント・エンターテインメントはこの後の分析の結果、外れ値的な値をとっていたため除外しています。

分析方法

今回の分析手法もヴァンダルの時と同様に主成分分析(PCA)という分析手法を用います。

主成分分析の説明はヴァンダルの方で少し詳しく書いているので今回は省きますが噛み砕いて言うと主成分分析は「この特徴とこの特徴は似ているから、一緒にまとめて考えよう」といった具合に、データの重要な部分だけを抽出して、新しい少ない数の要素に変換する方法です。

また今回は得られたデータの中でも20~20000Hzに限定して分析を行います。こちらの記事によると一般に人間が聞き取れる周波数は20~20000Hzであると言われています。そのため周波数を限定して分析を行うことでこれまでよりより有用な結果が得られることが期待されます。

分析結果

取得したデータからPCAによって重要な変数を導き出します。下のプロットは最も特徴を表現する変数(第一主成分、以下、変数Aと呼ぶ)を横軸に次点で特徴を表現する変数(第二主成分、以下、変数Bと呼ぶ)を縦軸に取った散布図です。

さらにTierの高さで色分けすると以下のようになります。

この結果からわかることは以下のようになります。

わかること
  • ドゥームブリンガー、プライムは変数Aが値が大きく、プライモーディアムは値が小さい。
  • Champions2024、ドゥームブリンガーは変数Bの値が大きくスペクトラム、レディアント・クライシスは値が小さい。

この結果についてもわかることをまとめます。

また三番目に特徴を表現している変数(変数C)を追加して3Dプロットを行うと下のようになります

ファントムはヴァンダルとは異なり変数Aと変数Bの2つではスキンごとの違いを49%程度しか説明できていません。そこで今回は変数Cを含めた3つの変数によって以降の考察を行っていきます。ちなみに3つの変数でスキン毎の違いを62%程度説明できるという計算になっています。

考察: ファントムの人気スキンに見られる銃声の傾向

今回の分析もヴァンダルの時と同様にまずは各変数が持つ意味を考える必要があります。

各変数の持つ意味

変数Aは低音域~中音域のエネルギーの大きさ

まず最も特徴を表現している変数Aについて、これは「音全体のバランス」を示す変数と考えられます。直感的な表現だと「銃声の鋭さ」となります。

変数Aの値が大きいことは高音域のエネルギーが大きく、すなわち高音域がよく聞こえ銃声が鋭く聞こえることを指しています。一方値が小さいことは高音域から低音域に大きな偏りがなく比較的均一に広がっていることから柔らかな銃声なることを指しています。

変数Aが最大値のドゥームブリンガーと最小値のプライモーディアムの元データをプロットすると以下のようになります。

元データだけ見ると大きな差は見えませんが、よく見ると確かにプライモーディアムの方が全体的に高音域のエネルギーに対して低音域のエネルギーの割合が大きくバランスが取れているように見えます。

さらに変数Aの解釈は「銃声の鋭さ」と書きましたが、より深堀すると「低音域~中音域のエネルギーの大きさ」ということをできると考えます。

ドゥームブリンガーファントムの周波数毎の強さ(dB)
プライモーディアムファントムの周波数毎の強さ(dB)

変数Bは高音・低音のバランス

次に変数Bについてですが「高音と低音のバランス」を示していると考えられます。

変数Aと似たようなよう解釈ですが変数Aが音全体に対して言及しているのに対して変数Bはとくに高音と低音に注目しているという点で異なります。

変数Bの値が大きいスキンは高音が特徴的でクリアな音である一方で変数Bが小さいスキンは低音が特徴的で重厚な音を持つと考えられます。

変数Bが最大値のスペクトラムと最小値のChampions 2024の元データをプロットすると以下のようになります。確かにスペクトラムは高音が特徴的でありこの結果は体感とも一致すると言えると考えます。

数字上は変数Aの方が特徴づける要素として大きい結果となりましたが、体感は変数Bの方が主要な要素かもしれません。


スペクトラムファントムの周波数毎の強さ(dB)
Champion 2024ファントムの周波数毎の強さ(dB)

変数Cは音の細部の質感

最後に変数Cについてですがあまり良い解釈が見つかりませんでした。そこでChatGPTにデータと主成分分析の結果を与え変数Cについて考察してもらいました。

その結果変数Cは「音の細部の質感・テクスチャ」を示していると考えられるという回答が得られました。

ChatGPTによると変数Cの値が大きいスキンはシャープさある銃声が特徴的である一方で変数Cが小さいスキンは滑らかで細かな変化が少ない銃声であると考えられるとのことです。

変数Cが最大値のオニと最小値のルイネーションの元データをプロットすると以下のようになります。

オニファントムの周波数毎の強さ(dB)
ルイネーションファントムの周波数毎の強さ(dB)

このグラフだけでは細かな違いが判らないので範囲を絞っていくつかグラフを作成しましたが、それでもあまり大きな違いは見られませんでした。

そもそも変数CはA,Bと比較すると小さな要素なので人の目ではわからないものかもしれません、気になった方はぜひゲーム内で銃声を聴き比べてみてください。

オニファントムの周波数毎の強さ(1000-10000Hz)
ルイネーションファントムの周波数毎の強さ(1000-10000Hz)

人気スキンが持つ音の傾向

ここまでで各変数が持つ意味について考察しました。ここからはこれらの意味を踏まえて人気のスキンにはどのような音の傾向があるか考えてみます。

低・中音域のエネルギーの大きさは主要素だが人気への影響は少ない

変数A「低音域~中音域のエネルギーの大きさ」は今回の分析ではファントムを特徴づける最も大きな要素であるという結果になりました。

しかしTierと照らし合わせみると変数Aの大小によって人気に偏りはないように見えます。このことから変数Aが人気に及ぼす影響は大きくないことが考えられます。

重厚感よりクリアな銃声が好ましい

変数Bに注目すると負の値を取るスキンは評価が低くなる傾向にあります。オニやリコンといった評価の高いスキンも含まれますがこれらは負の値を取っていルものの比較的0に近いことがわかります。

一方で変数Bの値が正の値を取るスキンは比較的評価が高く、SS Tierのミストブルームも正の値を取っています。

このことからファントムにおいては重厚感よりクリアな銃声が好まれており人気の要因となっていることが考えられます。またオニやリコンの値から比較的重厚な銃声であっても、ほどよく重厚感がある方が好まれる傾向にあると考えることができます。

これはヴァンダルの時とは異なる結果であり、ヴァンダルとファントムでは人気の引き金となる要因が異なることと考えることができます。

シャープな銃声は好まれる傾向にある

変数Cに注目するとTierの低いスキンは値が小さい傾向にあります。

Tierが高くても変数Cの値が小さいスキンもいくつかあるため強い相関はなさそうですが、値が大きい時にはTierの低いスキンは少ないことから、少なくともシャープな銃声はファントムの人気に繋がる可能性があると考えることができます。

結論: ファントムの人気スキンに必要な要素

この記事のまとめ

ここまでの考察を踏まえ今回の分析の結論としてファントムの人気スキンの傾向をまとめると以下のようになります。

この記事のまとめ(ヴァンダルの人気スキンの傾向)
  • ファントムの銃声を特徴づける主要素は「銃声の鋭さ」「高音・低音のバランス」「音の細部の質感
  • 重厚感が少なくクリアな銃声を持つスキンは評価が高い傾向にある。
  • シャープな銃声を持つスキンは評価が高くなる傾向にある。

さいごに

今回は統計的分析手法を用いて人気の武器スキンの傾向を分析しました。

ファントムはヴァンダルとは異なる要素が人気につながるという結果が得られましたが、確かに同じシリーズのスキンでもヴァンダルは人気なのにファントムは人気がないといったこともよく見られるので今回の分析はそれなりに辻褄が合う結果になったと個人的には感じています。

ファントムの銃声分析についてはオニファントムとリコンファントムに特化した分析を別で行っているのでよければそちらも読んでみてください。

またこの記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでぜひ読んでいただけると嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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