MENU

【VALORANT】周波数データを用いたヴァンダル人気スキン傾向分析

目次

導入: VALORANTの人気スキンの銃声には特徴がある?

はじめに

こんにちは。皆さんVALORANTで普段何の武器スキンを使っていますか?VALORANTでは武器ごとにそれぞれ人気のスキンがあり、人気のスキンにはある程度の傾向があることと考えられています。(例えばファントムはデフォルトスキンに近い音を持つリコンやオニが当てやすいなど)

人気スキンとなる主な要因の一つに「銃弾が当てやすいと感じる銃声音」があることは周知の事実でありながら、具体的にどのような音が当てやすい音なのかは判明していません。また似たような銃声を持つスキンでも人気に大きな差があることがあることから、当てやすいと感じる音には様々な要素が複雑に絡み合っていることが考えられます。

そこで今回は武器スキン毎の銃声から取得した周波数データを使用して「当てやすいスキン・人気のスキンの銃声には傾向があるのか?」を分析したいと思います。今回はVALORANTでおそらく最も人気であろうヴァンダルに限定して分析を行います。

分析: 統計的手法による周波数データの分析

使用したデータ

今回はVALORANTのゲーム内で確認できる「コレクション」から各スキンのサンプル映像で流れる銃声を録音し、各周波数(Hz)の大きさ(デシベル)をテキストデータに変換したものを使用します。なお、各スキンの銃声は単発時のものを使用しています。

対象となるヴァンダルのスキンは以下です。(()内は図表内の表記)

使用したヴァンダルのスキン(24種類)
  • クロナミ(kuronami)
  • プレリュード・トゥー・カオス(chaos)
  • プライム(prime)
  • ガイアス・ヴェンジェンス(gaias)
  • RGX 11Z PRO(rgx)
  • Champions 2021(champ21)
  • Champions 2023(champ23)
  • フォーセイクン(forsaken)
  • ゼロファング(xerofang)
  • イオン(ion)
  • クロノヴォイド(chronovoid)
  • オーバードライブ(overdrive)
  • ヴァリアントヒーロー(variant_hero)
  • プライモーディアム(primordium)
  • ネプチューン(neptune)
  • インぺリウム(inperium)
  • エヴォリ・ドリームウィングス(evori_dreamwings)
  • オニ(oni)
  • メイジパンク(magepunk)
  • クライオステイシス(cryostasis)
  • オリジン(origin)
  • エイモンディア(aimondir)
  • シンギュラリティ(singularity)

また各スキンの人気を表す指標はhttp://tiermaker.comを参考に下のように割り振りました。

SSからCまでTierを割り振り()内の数値に対応させている。

※エイモンディア、シンギュラリティは比較的新しいことから評価が定まっていないと判断しTier対象外としています。

Xで事前にアンケートを取り多くの人にとっておおよそ納得のいくTierリストであることを確認しています。

ちなみに周波数は大きいほど高い音、小さいほど、低い音を指します。

実際に取得した単発射撃時のデータ

分析手法

今回得られたデータは得られた周波数がそれぞれ一つの変数となっており、合計すると240個の変数があります。今回行った主成分分析(PCA)という分析手法はこの多変量データの情報を要約し、その本質を捉えるための統計的分析手法です。噛み砕いて言うと主成分分析は「この特徴とこの特徴は似ているから、一緒にまとめて考えよう」といった具合に、データの重要な部分だけを抽出して、新しい少ない数の要素に変換する方法です。これによりデータの全体像を簡単に把握できるようになるので、ヴァンダルの銃声の違いの中でも人気の要因となる特徴を考えます。

主成分分析の例
主成分分析のイメージ(Surveroidより抜粋)

分析結果

取得したデータからPCAによって重要な変数を導き出します。下のプロットは最も特徴を表現する変数(第一主成分、以下、変数Aと呼ぶ)を横軸に次点で特徴を表現する変数(第二主成分、以下、変数Bと呼ぶ)を縦軸に取った散布図です。

この結果からわかることは以下のようになります。

わかること
  • イオン、オーバードライブは第一主成分が値が大きく、プライムは値が小さい。
  • Champions2021、メイジパンクは第二主成分の値が大きくエイモンディア、エヴォリ・ドリームウィングスは値が小さい

さらにTierの高さで色分けすると以下のようになります。

この結果についてもわかることをまとめます。

わかること
  • 変数Aの値が極端に大きい、小さいスキンはTierが高い傾向にある。
  • 変数Bが極端に高い値を取るスキンは評価が低い傾向にある。

また三番目に特徴を表現している変数(変数C)を追加して3Dプロットを行うと下のようになります

2次元の時と比べるとより細かな違いが見えてきますが、変数を増やすほど見づらくなり解釈も難しくなるので今回は2つの変数に特に注目して以降の考察を行います。ちなみに2つの変数でスキン毎の違いを65%程度説明できるという計算になっています。

考察: ヴァンダルの人気スキンに見られる銃声の傾向

今回行った分析手法では240個ある変数をうまい具合にまとめてくれるという非常に有用な側面がある一方でその変数が何を意味するかは分析者側で考える必要があります。そこでまずは各変数が持つ意味を考えてから、人気スキンとなる主たる要因を考えてみます。

各変数の持つ意味

まず最も特徴を表現している変数Aについて、これは「周波数毎のエネルギーの偏り」を示す変数と考えられます。直感的な表現だと「音の厚みや響きの違い」「どのくらいクリアに聞こえるか」となります。

変数Aの値が大きいことは高音域にエネルギーが偏っている、すなわちクリアに聞こえることを指しています。一方値が小さいことは低音域にエネルギーが偏っていて、低く重い音、こもった音に聞こえることを指します。変数Aが最大値のオーバードライブと最小値のプライムとの間では実際のデータでも目に見えるほどには違いがわかります。

オーバードライブヴァンダルの周波数毎の強さ(dB)
プライムヴァンダルの周波数毎の強さ(dB)

次に変数Bについてですが「高音域のエネルギーの大きさ」を示していると考えられます。直感的な表現をすると「銃声の鋭さ」です。

変数Bの値が大きいスキンは鋭く突き刺さるような銃声を持ち、値が小さいスキンは比較的柔らかい銃声となることを指します。変数Bが最大値のChampions 2021と最小値のイオンの間ではデータ上でも高音域での集中度の違いが見てとれます。

Champions 2021ヴァンダルの周波数毎の強さ(dB)
イオンヴァンダルの周波数毎の強さ(dB)

前述しましたがここまでで説明した2つの変数でスキン間の違いを65%程度説明できています。これを80%程度まで上げるには上位2つの変数に加えて4つの変数を追加する必要があります。変数が多くなると解釈が難しくなるため詳細な説明は2つの変数のみにとどめますが4つの変数C,D,E,Fについても簡単に解釈を紹介します。

  • 変数C: 中音域の豊かさ。
  • 変数D: エコーや残響の余韻。
  • 変数E: 音の滑らかさ、一貫性。
  • 変数F: 特に高い音、低い音が含まれているか。

これでもまだ80%程度なので詳細にスキンの良し悪しを評価するには音だけでも多くの要素を考える必要があることがわかります。

人気スキンが持つ音の傾向

ここまでで各変数が持つ意味について考察しました。ここからはこれらの意味を踏まえて人気のスキンにはどのような音の傾向があるか考えてみます。今回は解釈を容易にするため変数A、Bのみを考慮して傾向を分析します。

クリアな銃声、低温が響く銃声を持つスキンは人気

変数Aに注目すると極端に値が大きい、または極端に音が小さい場合人気スキンになる傾向があります。つまりとてもクリアに聞こえる銃声やとても低音が響く銃声を持つスキンは人気であると考えられます。今回のデータの中だと変数Aの値が大きいクロナミ、プレリュード・トゥー・カオス、ゼロファングが挙げられます。値が小さいスキンはプライム、ガイアズ・ヴェンジェンス、シンギュラリティなどが挙げられます。

極端に銃声が鋭いスキンは不人気

変数Bに注目すると極端に値が大きい場合には評価が低くなる傾向にあります。つまり極端に鋭い銃声を持つスキンは人気スキンにはなりづらい傾向にあります。人気スキンは変数Bの値が0~5付近にあることから極端に大きい値を持つと人気にはならないが程よく鋭さを持っておく必要があると言えます。

結論: ヴァンダルの人気スキンに必要な要素

この記事のまとめ

ここまでの分析を通してヴァンダルの人気スキンに必要な要素をまとめます。

ヴァンダルの人気スキンに必要な要素
  • 銃声が高音でクリアに聞こえる、またはとても低音が響く
  • 銃声が程よく鋭さを持っている、鋭すぎるのはよくない。

上記を踏まえ今回の分析の結論としてヴァンダルの人気スキンの傾向をまとめると以下のようになります。

この記事のまとめ(ヴァンダルの人気スキンの傾向)
  • クリアな銃声、低音が響く銃声を持つスキンは人気になる傾向がある。
  • 銃声に程よい鋭さを持つスキンは人気になる傾向がある。

さいごに

今回は統計的分析手法を用いて人気の武器スキンの傾向を分析しました。ある程度の解釈を容易にするため説明する変数を省きましたが、それでも人気度に影響を与える要素のうち半分以上は本結論の要素であることから人気スキンを決める上で無視できない要素と言えます。

またこの分析では既存のヴァンダルスキンを対象に絞りました。今回の記事が好評であればファントム編もやりたいと考えています。新スキンの登場時には今回の分析結果をもとにした評価も行いXに投稿しようと思うので是非フォローをお願いします。

記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでこのよければ読んでみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次