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【VALORANT】eDPIとHS%,ACSのデータを使った感度とエイムの関係分析

目次

導入:eDPIが低いほどHS率は高いのか?データで検証する

はじめに

こんにちは、家系です。今回は「eDPIとヘッドショット率(HS%)・ACSの関係」に関する分析を行います。

VALORANTの感度設定に関する議論は尽きません。なかでも根強いのが「ローセンシのほうがエイムが正確で、HS率が高い」という通説です。確かに直感的には、感度が低いほうが細かいエイム調整がしやすく、頭に当てやすそうに思えます。しかし、実際にプロシーンのデータはこの通説を支持しているのでしょうか。

そこで今回は、VCT 2026の主要大会に出場したプロ選手のeDPI設定とHS率・ACSを突き合わせ、eDPIの高低がHS率やACSと統計的に有意な相関を持つかどうかを検証します。感度選びに悩んでいる皆さんにとって、ひとつの判断材料になれば幸いです。

使用したデータ

本分析では以下のデータを使用しています。

①選手設定データ
VCT参加選手のDPI・ゲーム内感度・eDPI等の設定情報。2026年3月〜4月時点の最新更新分を使用。

②大会パフォーマンスデータ
VCT 2026 Americas Kickoff、Pacific Kickoff、EMEA Kickoff、Pacific Stage 1、EMEA Stage 1、Valorant Masters Santiago 2026 の6大会における選手別スタッツ。HS%・ACS・ラウンド数等を含む。

なお、分析の信頼性を担保するため、合計ラウンド数が100ラウンド以上の選手に限定しています。最終的な分析対象は107名となりました。


分析:eDPIとプロのパフォーマンス指標を突き合わせる

分析①:eDPIの分布 ― プロ選手はどのゾーンに集中しているか

まず相関分析に入る前に、そもそもプロ選手のeDPIがどの範囲に分布しているかを確認します。仮説:プロ選手のeDPIは200〜300の帯に集中しており、極端なローセンシ・ハイセンシは少数派である。

分析対象107名のeDPI分布は以下のとおりです。

eDPI帯選手数構成比
100未満21.87%
100〜1993936.45%
200〜2994037.38%
300〜3991715.89%
400〜49954.67%
500以上43.74%
プロ選手107名のeDPI分布(VCT 2026主要大会出場者・100ラウンド以上)

わかること

  • 全体の73.83%がeDPI 100〜299に収まっている。プロシーンの「標準帯」と言える。
  • 中央値は224.00、平均値は248.87。右に長いテールを持つ分布。
  • eDPI 500以上の選手はf0rsakeN(569.60)、something(464.00)、Comeback(512.00)、wippie(736.00)など4名で、いずれも操作スタイルに独自性がある。

仮説判定:支持。プロ選手のeDPIは100〜299に約74%が集中しており、極端な値は少数派です。

分析②:eDPIとHS率の相関 ― ローセンシ=ヘッドハンターは本当か

ここからが本題です。仮説:eDPIとHS率の間には有意な負の相関がある(eDPIが低いほどHS率が高い)。これがいわゆる「ローセンシのほうが頭に当てやすい」説の統計的な検証にあたります。

107名の選手について、eDPIを横軸、HS率を縦軸にプロットした散布図を見てみます。

eDPIとHS率の散布図(N=107、VCT 2026主要大会)

散布図を見ると、データポイントは広く散らばっており、明確な傾向は読み取りにくい状態です。統計的に確認するため、ピアソンの相関係数を算出しました。

指標
ピアソン相関係数 (r)-0.048
p値0.621
決定係数 (R²)0.002

わかること

  • 相関係数r = -0.048で、ほぼ無相関。eDPIの高低はHS率をほとんど説明しない。
  • p値 = 0.621であり、統計的に有意ではない(p < 0.05を基準)。
  • 決定係数R² = 0.002、つまりeDPIがHS率の変動を説明する割合はわずか0.2%に過ぎない。

噛み砕いて言うと、eDPIが低い選手が必ずしもHS率が高いわけではなく、eDPIが高い選手のHS率が低いわけでもありません。たとえばeDPI 314のScreaM選手のHS率は36%ですが、同程度のeDPI帯でも20%台の選手は多数います。逆にeDPI 569.60のf0rsakeN選手のHS率は28%〜32%で推移しており、これは全体平均とほぼ変わりません。

仮説判定:棄却。eDPIとHS率に有意な相関は認められず、「ローセンシ=HS率が高い」という通説はこのデータでは支持されません。

分析③:eDPIとACSの相関 ― 感度が戦闘力を左右するか

次に検証するのは、eDPIとACS(Average Combat Score)の関係です。仮説:eDPIとACSの間にも有意な相関は見られない。HS率と同様に、感度設定は総合的な戦闘貢献度を直接左右するファクターではないと考えられます。

eDPIとACSの散布図(N=107、VCT 2026主要大会)
指標
ピアソン相関係数 (r)0.023
p値0.812
決定係数 (R²)0.001

わかること

  • 相関係数r = 0.023で、eDPIとHS率以上に無相関。
  • p値 = 0.812で統計的に有意ではない。
  • eDPI 160の選手でもACSが130台の場合があり、eDPI 400以上の選手でもACS 200超を記録している。ACSはロール・エージェント・チーム構成の影響が大きい。

仮説判定:支持。eDPIとACSの間にも統計的に有意な相関は認められません。

分析④:eDPI帯別のHS率・ACS平均比較 ― グループ間に差はあるか

ここまでで連続変数同士の相関はほぼゼロであることが分かりました。ただし、「極端なローセンシとハイセンシで比較すれば差があるのでは?」という疑問が残ります。仮説:eDPI帯別に平均値を比較しても、HS率・ACSに有意な差は生じない。

eDPI帯選手数HS率平均ACS平均
100〜1994128.66%199.18
200〜2994028.73%195.42
300〜3991728.35%196.82
400以上927.11%197.89
eDPI帯別のHS率平均・ACS平均(VCT 2026主要大会)

わかること

  • HS率の差は全帯域でわずか1.62pp。100〜199帯と400以上帯の差は1.55ppに過ぎず、実質的な差とは言いがたい。
  • ACS平均はむしろ400以上帯がやや高い(197.89)が、これはf0rsakeN・something・Comebakなどハイセンシでも高パフォーマンスの選手が含まれるため。サンプル数が少なく個人差の影響が大きい。
  • どのeDPI帯でもHS率は27〜29%、ACSは195〜200の範囲に収束しており、感度帯による実質的な差はない。

仮説判定:支持。eDPI帯別に比較しても、HS率・ACSに実質的な差は見られません。

分析⑤:ロール別に見たeDPIとHS率 ― 交絡要因の影響を確認する

ここまでの分析で「eDPIとHS率は無関係」という結論が見えていますが、ロール(デュエリスト vs コントローラーなど)が交絡要因になっている可能性を確認します。仮説:デュエリスト系選手とコントローラー系選手を分離しても、eDPIとHS率の相関は弱いままである。

各選手の最多使用エージェントからロール分類を行い、デュエリスト系(yoru・jett・raze・neon・waylay・phoenix・iso)とコントローラー系(astra・omen・brimstone・viper・harbor)に大別しました。

ロール分類選手数eDPI平均HS率平均eDPI-HS率 相関 (r)
デュエリスト系48237.5227.65%-0.031
コントローラー系30258.1329.93%-0.072
その他(イニシエーター・センチネル)29248.4128.86%-0.041
ロール別に見たeDPIとHS率の散布図(VCT 2026主要大会)

わかること

  • どのロール分類でも相関係数の絶対値は0.1未満であり、ロールを分離しても結論は変わらない。
  • コントローラー系のHS率平均(29.93%)がやや高いのは、後方からの確実なエイムが求められるロール特性によるものと考えられる。eDPIの影響ではない。
  • デュエリスト系はeDPIの分散がやや大きいが、HS率の分散も同様に大きく、感度では説明できない。

仮説判定:支持。ロール別に分離してもeDPIとHS率の相関は弱いままであり、ロールが交絡要因として作用している形跡はありません。


考察:分析結果から考えるeDPIと「エイム力」の本質

ここまでの5つの分析結果を仮説判定表として整理します。

仮説判定根拠
プロのeDPIは200〜300帯に集中支持100〜299帯に73.83%が集中。中央値224。
eDPIが低いほどHS率が高い棄却r = -0.048、p = 0.621。無相関。
eDPIとACSに相関はない支持r = 0.023、p = 0.812。無相関。
eDPI帯別でもHS率・ACSに差はない支持全帯域でHS率差1.62pp、ACS差4.71。
ロール分離後もeDPI-HS率相関は弱い支持全ロールで|r| < 0.1。

一気通貫で振り返ると、eDPIはプロレベルにおいてHS率・ACSのいずれとも統計的に有意な関係を持っていないことが明確になりました。相関係数は連続変数分析で-0.048〜+0.023、eDPI帯別の平均差はHS率で最大1.62pp、ACSで最大4.71ポイントに過ぎません。

では、なぜ「ローセンシのほうがHS率が高い」という通説が広まったのでしょうか。個人的には以下の点が寄与していると考えます。それはプロ選手は全員が十分なエイムトレーニングを積んでいるという点です。どの感度帯でも長時間の練習によって精度を最大化しているため、感度の差がパフォーマンスに表れにくいと推察されます。HS率やACSを左右する要因は、eDPIよりもゲームセンス・ポジショニング・エージェント選択・チーム戦術の寄与が大きいと言えます。


結論:eDPIで腕前は決まらない ― 自分に合う感度を探そう

この記事のまとめ

この記事のまとめ

  • VCT 2026主要大会の選手107名を対象に、eDPIとHS率・ACSの関係を分析した。
  • プロ選手のeDPIは100〜299に約74%が集中(中央値224.00)。
  • eDPIとHS率の相関係数はr = -0.048(p = 0.621)で無相関。「ローセンシ=HS率が高い」は統計的に支持されない。
  • eDPIとACSの相関係数はr = 0.023(p = 0.812)で同様に無相関。
  • eDPI帯別に比較してもHS率差は最大1.62ppで実質的な差なし。
  • ロール別に分離しても結論は不変。eDPIがパフォーマンスを左右するエビデンスはない。

さいごに

今回の分析を通じて、eDPIの高低はプロレベルのHS率やACSを予測する指標にはならないことが確認できました。もちろん、快適にプレイできる感度帯は個人の身体条件やマウス操作の癖によって異なります。大切なのは「プロが使っているから」ではなく、自分のプレイスタイルに合った感度を見つけ、それを練習で体に馴染ませることではないでしょうか。

皆さんは今の感度に満足していますか?もし感度を変えてHS率が上がった・下がったという経験があれば、ぜひXで教えてください。データで検証できるかもしれません。

他の分析記事もe-Analysisで公開していますので、ぜひご覧ください。Xアカウント(@家系)のフォローもお待ちしています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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