はじめに
こんにちは。VALORANTの競技シーンを観戦しているとプロの選手のうまいプレイを見て「自分もこのエージェントを使ってみたい」と思うことがあるかと思います。しかし実際にランクで使ってみると周りとの連携がうまくいかなかったり、ソロではスキルを十分に使えなかったりと思うようにプレイできず結局使うのをやめてしまうといった経験はないでしょうか。これは競技とランクの環境や条件の違いから生まれるもので、この違いによって競技シーンで強いエージェントとランクで強いエージェントは異なることが考えられます。そこで今回は『競技シーンで強いエージェントとランクで強いエージェントは同じなのか?』をテーマに分析を行ってみます。
データから見るランクと競技シーンの違い
今回は「K/D」と「Kill%(すべてのキルのうちそのエージェントのキルが占める割合)」からエージェントの強さに差があるか見ることでランク強いエージェント、競技シーンで強いエージェントはいるのか分析します。なお使用したデータはランクと競技シーンで異なるソースでありランクはTrackerggより競技シーンはThespikeggより取ったデータを比較可能な形に計算しなおし使用しています。(執筆時点でのデータを使用しています)
ピック率の差から見るランクと競技シーンの違い
本題に入る前に直接的に強さを測る指標にはなりませんが、強さの差を見るうえで重要になるであろうピック率の差を見てみます。
エージェント数が多くグラフが見づらくなってしまったので必要であれば拡大してください。このグラフで注目すべき箇所を赤枠で囲みました。オーメンやヴァイパー、レイズ、キルジョイはランクと比べ競技シーンでのピック率が5%以上高く、競技で多く使われているエージェントであることがわかります。オーメン、ヴァイパーは2スモーク構成で多く使われているエージェントであるためピック率が高いことが要因である可能性が高く、キルジョイは堅実なエージェントである一方で、倒されない立ち回りが求められることから華やかさに欠けるエージェントであることがランクでのピック率が低いエージェントである要因であると考えられます。レイズは競技シーンでは最もピック率の高いデュエリストでありこれはジェットのナーフやレイズに適したマッププールが要因であると考えられます。
一方でレイナやセージは競技シーンと比べランクでのピック率が5%以上高いエージェントです。この2エージェントは比較的連携が必要ない、単体性能の高いエージェントであることが要因であると考えられます。また過去に競技シーンで使われていた構成が、ランクでは今も使われていることも要因の一つであると考えられます。
K/Dの差から見るランクと競技シーンの違い
次にK/Dの差からランクで強いエージェント、競技シーンで強いエージェントはいるのか分析します。
前のグラフと同様に0.05以上差がある部分を赤枠で囲っていますがアイソとデッドロックは使用率が低く信頼性が低いため説明は省略します。K/Dが0.05違う場合のキル数の差を下にまとめます
K/D | ラウンド数 | デス率 | キル数 |
1.00 | 140000 | 0.5 | 70000 |
1.05 | 140000 | 0.5 | 73500 |
差分 | 3500 |
ランクでのK/Dが大きく高いエージェントはレイナのみとなりました。競技シーンと比較すると自由に行動できるランクの方がレイナというエージェントに合っていることが要因であると考えられます。このことからレイナはランクで強いエージェントであると考えられます。
ランクと比べて競技シーンでのK/Dが高いエージェントとしてヨル、キルジョイがあげられます。ヨルについては他エージェントとのシナジーによってキルを取りやすいエージェントであることが要因の一つと考えられます。またヨルのピック率は最近になり大きく上がったことからこのシナジーに対する対策が進んでいないことも競技シーンにおけるヨルのK/Dが高い要因の一つであると考えらます。このことからヨルは競技シーンで強いエージェントであると考えられます。キルジョイもヨルと同様に競技シーンでのK/Dが高いエージェントです。個人的にはキルジョイについて大きく差が出るのは予想外でした。どのような要因があるか考えてみましたが確信的な考察をすることができず、推論ベースではありますがエージェントの強さよりも使用しているプレイヤーの強さに大きな差があることが要因であると考えました。最近の競技シーンではチームの中でも特にフィジカルの強い選手がキルジョイ等のセンチネルを使うことが増えました、そのセンチネルの中でもキルジョイは特に撃ち合いに割けるリソースが大きいことがこのような結果になった一つの要因なのではないかと考えています。
皆さんの意見をぜひ教えてください!
そのためこのグラフからキルジョイが競技シーンで強いエージェントであると言うのは難しいと考えます。
Kill%の差から見るランクと競技シーンの違い
最後にKill%(すべてのキルのうちそのエージェントのキルが占める割合)からランクで強いエージェント、競技シーンで強いエージェントはいるのか分析します。なおKill%については比較のためにそれぞれのデータを計算し直していることから参照元から直接数値を確認することはできませんのでご了承ください。
前と同様にアイソ、デッドロックについてはピック率が非常に低いことから説明は省略します。また今回は %以上差がある部分を赤枠で囲っていますが、目安として0.3%の差がある場合キル数にどの程度差が生まれるのかを表にまとめます。
Kill% | ラウンド数 | 平均キル数 | キル数 |
0.35% | 140000 | 2.5 | 1225 |
0.38% | 140000 | 2.5 | 1330 |
差分 | 105 |
上の表から分かる通り一見小さな差に見えますがキル数にすると目に見える差があることがわかるため今回は大きな差と言えると言う判断のもと注目ポイントとしています。
このグラフからアストラ、ブリーチはランクでのKill%が高く、キルジョイは競技でのKill%が高いことがわかります。ブリーチについては競技シーンと比較すると自身のためにスキルを使えることが大きな要因であることが考えられます。しかしキルを取ることがブリーチの本来の強さとは言えないためこのことからブリーチはランクの方が強いというのは難しいと考えます。アストラについてはこの結果に結びつく良い考察が考えられませんでした。先ほどのキルジョイ同様、皆さんの意見をぜひ聞かせてください。
キルジョイについては競技シーンの方がKill%が高くK/Dと似た結果が得られました。要因もK/Dと同様プレイヤーによる影響が大きいと考えられます。
まとめ
最後にこの記事をまとめます。
- 競技シーンとランクを比較してオーメン、ヴァイパー、レイズ、キルジョイは競技シーンでのピック率が高い、一方でレイナ、セージはランクでのピック率が高い
- K/Dの観点からレイナはランクで強いエージェントであり、ヨルは競技シーンで強いエージェントであると考えられる。
- Kill%の観点からアストラ、ブリーチはランクの方が高い結果が得られた。
- アストラはランクで強く、キルジョイは競技シーンで強い(と考えられる)結果が得られたが確信的な考察は得られなかった。(皆さんの意見をぜひお聞かせください!)
この記事が少しでも参考になればうれしいです。この記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでこの良ければ読んでみてください。またXでもこの記事についてのことやそのほかの分析を行っているので良ければ是非フォローをお願いします。それではまだ次回。
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