こんにちは。皆さんはVALORANTはどの程度人気でこの人気がいつまで続くか考えたことはありますか?今回は普段プレイしているだけだとなかなか考える機会の少ない「ゲームタイトルの人気」に焦点を当てて分析をした記事になります。リリースから5年目となるVALORANTの人気を振り返り、これまでの推移や他ゲームとの比較から今後の課題と見通しをデータを見ながら考えてみたいと思います。
今回使用したデータ
今回はSully GnomeからTwitchにおけるVALORANTの視聴データを使い分析を行います。また他タイトルとの比較としてVALORANT同様日本での人気FPSであるApex LegendsとVALORANTと同じRiot Gamesが運営するMOBAタイトルであるLeague of Legends (LoL)の視聴データを使いVALORANTとの比較を行います。
これまでのVALORANT:VALORANTの歴史と人気の背景
世界におけるVALORANTの視聴者数推移
まずはこれまでのVALORANTの平均視聴者数を見ます。サイト上で見ることのできる全ての国の平均視聴者数は下図の通りです。
ピークはリリース直後で45万人程度、その後は競技シーンの盛り上がりに依存して平均視聴者数が推移しています。2022年までは年々盛り上がっているのに対し、インターナショナルリーグが始まった2023年からは少し視聴者数を落とし2024年は総合的に見ると2021年より低い数値になっています。こう見ると最近のVALORANTの視聴者数は上り調子とは言えないのが現状です。
このように視聴者数を落としている背景として前述したインターナショナルリーグの導入により世界大会の盛り上がりが減ったことや視聴者数獲得の基盤でもあったストリーマーのVALORANT離れなどが考えられます。
視聴者数推移を見ていると少し今後が不安になるVALORANTですがここまではあくまで世界的に見た推移です。次は日本におけるVALORANTの歴史をデータで振り返ります。
日本におけるVALORANTの視聴者数推移
日本のTwitchにおけるVALORANTの平均視聴者数は以下のようになっています。
日本に限定すると世界で見ていた時とは異なる傾向があることが見て取れます。2022年がピークであったことは共通ですが、2023年以降も世界で見たような下降傾向は少なく2月や8月は2022年より2024年の方が高い値となっています。また10月以降のオフシーズンについても世界の傾向とは異なり盛り上がりを見せていることがわかります。このように世界の傾向とは異なる背景にはTier2シーンや各種イベントの盛り上がりが起因していることが考えられます。上のグラフを見てもわかるように世界と比べると日本のVALORANT人気は低下していないように見えます。
ここまでは2020年のリリースから今までのVALORANTの歴史をたどりました。次はこれからVALORANTが抱えることになるかもしれない課題についてデータを見て考えてみたいと思います。
これからのVALORANT:VALORANTが迎える課題
これからのVALORANT人気を考えるにあたって今回は他タイトルの人口推移を参考にします。VALORANTと同じFPSで、先に日本で人気タイトルとなったApex Legendsと運営母体が同じRiot Gamesであり競技シーンが長らく続いているLeague of Legendsの2タイトルの推移を見て今後VALORANTが直面するかもしれない課題をデータ分析に基づき予想してみます。
VALORANTが迎える課題:Apex Legendsとの比較
まず初めに同じFPSタイトルであるApex Legendsとの比較を行います。Apex Legendsは2019年にリリースされVALORANTより一年早くリリースされたタイトルで、日本での人気もVALORANTより早く訪れています。競技シーンも盛り上がっており2025年1月には世界大会の日本開催も予定しています。
そんなApex LegendsのTwitch平均視聴者数は以下の通りです。
Apex Legendsは2021年後半から2022年の前半にかけてピークを迎え、その後は少し落ち着いて今日まで安定した視聴者数を獲得しています。
日本におけるVALORANTの視聴者数と比べるApex Legendsはピークから安定期の落差が大きく見えます。視聴者数低下の原因は様々ではありますが、その中の一つは本記事の主役であるVALORANTの台頭だと考えられます。2022年のVALORANTとApex Legendsの視聴者数を重ねるとそのことがよくわかります。
Apex Legendsの視聴者数が大きく低下した2022年の6月~10月がVALORANTの視聴者数のピークと重なることから、他タイトルの盛り上がりがそのタイトルの人気低下に繋がることがわかります。VALORANTでは幸いにも今日まで人気の大幅低迷に繋がるようなタイトルが出ていないため、高い水準で安定した視聴者数を獲得していますが、新たな人気タイトルが現れた場合VALORANTの人気低下につながる可能性があります。
ちなみにVALORANTがピークを迎えた2022年7月は第二回CRカップ、8月にはVCT Championsやそれにつながる各地域のLCQが開催されています。これらのイベントが日本におけるVALORANT人気に火をつけ、逆にApex Legendsの人気を奪った原因であると考えられます。
CRカップのようコミュニティイベントの開催は日本におけるタイトルの人気に大きく影響を与えていることが考えられます。個人的にはWatch Partyなどを含めた最近のVALORANTのコミュニティイベントを見ていると2022年と比べてやや盛り上がりが少なくなったように感じます。もしこのタイミングで新たな人気タイトルが現れた場合VALORANTの視聴者数は低下する可能性があると考えています。
VALORANTが迎える課題:League of Legendsとの比較
次に比較するタイトルはVALORANTと同じRiot Gamesが運営するLeague of Legends(LoL)です。このタイトルは近年日本での人気も高まっていますが世界で見ると長らく人気が続くビッグタイトルです。そんなLoLの推移を見ることは今後のVALORANTの推移を予測する上でとても参考になると考えます。
League of LegendsのTwitch平均視聴者数は以下の通りです。
LoLがピークを迎えたのは意外にも最近でそれまでは全体の歴史の中で見ると比較的視聴者数は少ない時期が長く続いています。(それでも10万人を下回ることがほとんどない、またTwitchだけの集計なのでビッグタイトルであることは間違いないです)視聴者数が少なかった原因は他タイトルとの視聴者の奪い合いなどが考えられますが今回のVALORANTの今後の展望を予測する上では参考にならなさそうなので、これ以上は深掘りしません。
ピーク以降を見るとその期間は2年程度とそれほど長くありません。そのため前述したような新たな競合タイトルが現れた場合、Riot Gamesはうまく人気を保持できるかは未知数だと言えます。
Riot GamesはLoLという長寿タイトルの運営母体なのだからVALORANTの人気低下もうまく避けるだろうと、この分析をする前は予想していたのですがその考えは改めるべきかもしれません。
まとめ
かなり長くなってしまったので最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 日本におけるVALORANTの人気はピーク以降もかなり高いが2024年は2021年と比べるとやや低下している。
- 他タイトルの傾向上、新たな競合タイトルが現れるタイミングで人気低下の可能性がある。
- Riot GamesはVALORANT以外の長寿タイトルを持っているが競合出現時の維持力は未知数
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事はデータからの考察部分が多く個人によるところが多くなってしまいました。私が見れていない様々なデータがまだあると思うのでコメントやSNSでぜひご意見を聞かせてください。この記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでこの良ければ読んでみてください。またXでもこの記事についてのことやそのほかの分析を行っているので良ければ是非フォローをお願いします。それでは。
おまけ:世界のVALORANT市場における日本の影響力
おまけとして世界に対して日本はどの程度影響力があるのかを分析します。
Twitchにおける直近1年間の言語別チャンネル数は下図のようになっています。
英語やスペイン語などの複数の国で共用語とされている言語を除くと日本語は単一国での言語としてフランス語に次いで二番目に割合が高く日本における人気は他国と比べても高いことがわかります。ただしこれはあくまでチャンネル数であるため、上位言語での視聴時間と視聴者数を比較してみたいと思います。
言語 | 英語 | スペイン語 | ポルトガル語 | フランス語 | 日本語 | ロシア語 | ドイツ語 |
合計視聴時間(時間) | 328,671,081 | 83,301,983 | 96,716,861 | 52,086,479 | 163,039,954 | 22,729,329 | 42,352,092 |
平均視聴者数 | 37,519 | 9,509 | 11,040 | 5,945 | 18,611 | 2,594 | 4,834 |
合計視聴時間と平均視聴者数を比べると英語を除くとかなりの差をつけて両項目で最も高い値を獲得しています。ポルトガル語やスペイン語、フランス語に比べてチャンネル数が少ないにもかかわらず上の二項目が高いことは日本のVALORANTファンは他国と比べても熱心なファンが多いことが考えられます。このことが毎年日本で大規模なイベントが開催される要因の一つなのかもしれません。
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