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【VALORANT】勝負に行くべき場面・人数状況に関するデータ分析

目次

導入:VALORANTで勝負に行くべき場面・人数状況はどこか?

はじめに

こんにちは。VALORANTでは5-2や4-1の人数有利の状況で1人で積極的にキルを狙いにいくことを「甘え」と言うことがあります。

ほとんどの場合一人、二人倒されてしまってもラウンドを落とすことは少ないですが、稀にその甘えからラウンドを取得されることがあります。本来取得できるはずのラウンドを逃してしまうのはこのゲームにおいて致命的です。

このようなアクシデントを未然に防ぐためは、いかなる状況においても甘えないことが重要なのはもちろんですが、実際わかっていても難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は甘えてもいい時とそうでない時、言い換えると「勝負するべき場面」と「勝負すべきでない場面」を人数状況別の勝率から分析してみたいと思います。

分析:データ分析による「勝負するべき場面」と「勝負すべきでない場面」

使用したデータ

今回使用したデータは2022年に行われたVCTの世界大会(VALORANT Masters Reykjavík, VCT Stage2 Masters Copenhagen,VALORANT Champions 2022 Istanbul)の1946ラウンド分のデータを使用します。

分析方法

今回の分析ではアタッカー側とディフェンダー側でそれぞれの人数状況におけるアタッカー/ディフェンダーそれぞれの勝率を計算し図を作成します。さらに値の大小によって色分けすることで分析を行います。

次にある人数状況から「1vs1勝負に勝ち相手の人数が減った時の勝率」と「1vs1勝負に負け味方の人数が減った時の勝率」の比を計算し、その比とあらかじめ決めた閾値との大小関係から勝負をすべきかそうでないか判別をします。

分析結果

人数状況別の勝率

まずは人数状況別の勝率を見てみましょう。今回はアタッカーとディフェンダーに分けて分析を行います。上の図がアタッカーで下の図がディフェンダーの勝率です。(単位:%)

アタッカーの勝率
ディフェンダーの勝率

この結果から分かることは以下のようになります。

わかること
  • 味方の人数が減ると勝率は下がる。
  • 相手の人数が減れば勝率は上がる。
  • 同一人数状況ではアタッカー側の方が勝率が高い。

勝負する・しないの判断を行うため指標の定義

次に勝負するべきかどうかの判断を行うための指標を定義しておきます。

勝負するべきかどうかの判断基準

甘えてもいいかを判断する基準として、ある人数有利の状況から1人が勝負した時に勝った時得られる報酬(勝率がどの程度上昇するか・メリット)と負けた時に課される罰則(勝率がどの程度低減するか・デメリット)の比を計算します。

イメージ↓

「勝負するべき場面」と「勝負すべきでない場面」の判別

アタッカーとディフェンダーのそれぞれで人数有利の時に先ほどの比を計算すると以下のようになります。

アタッカー側の比
ディフェンダー側の比

この結果から分かることは以下のようになります。

わかること
  • 人数有利時は常にデメリットが大きい
  • 人数不利時は常にメリットが大きい
  • ディフェンダー側における味方が5人いるときの比率は常に1を下回る。
  • ディフェンダー側は5vs1の時の値は、5vs2の時と比較して値が大きい。
  • ディフェンダー側は5vs3の時の値は、5vs4の時と比較して値が大きい。
  • 1vs1時はディフェンダー側の方が値が大きい。

この図からさらに値が0.85以上1以下の部分の文字色を赤色にすると以下のようになります。

アタッカー側の比
ディフェンダー側の比

この結果から分かることは以下のようになります。

わかること
  • アタッカー側は3vs2の時デメリットが比較的少ない。
  • ディフェンダー側では5vs4、5vs3、4vs3の3パターンでデメリットが比較的少ない。

考察:データ分析から考える人数状況別の勝負判断

同一人数状況ではアタッカー有利

今回の分析から同一人数状況では、アタッカー側の方が勝率が高いことがわかりました。このことから同一人数状況ではアタッカー側が有利であると考えることができます。

人数有利なら勝負しない、不利なら勝負する

人数有利時は常にデメリットが大きく、人数不利時は常にメリットが大きいことがわかりました。このことから人数有利時は勝負しない方がよく、逆に人数不利時には勝負した方がよいと考えることができます。

ディフェンダー側は「5人いるなら勝負しない」が基本

ディフェンダー側における味方が5人いるときの比率は常に1を下回ることがわかりました。このことからラウンド開始時は基本的にディフェンダー側から勝負を仕掛けるのは得策とは言えない(あくまで「基本的には」ですが)と考えることができます。

ただしディフェンダー側が5人いる状況において特殊なケースが存在します。ディフェンダー側は5vs4の時の値は5vs3の時と比較して値が小さく、5vs1の時の値は、5vs2の時と比較して値が小さいことがわかりました。このことからディフェンダー側で5人いる状況では、相手の人数が4人の時より3人の時、2人の時より1人の時のほうが勝負した方がよいという面白い考察をすることができます。

1vs1ではアタッカーは勝負しない方が良い

1vs1の状況ではアタッカー側は0.86、ディフェンダー側では1.16という結果になりました。この結果から1vs1ではアタッカーは勝負しない方がよい、ディフェンダーは勝負した方がよいと考えることができます。

基本的には「甘え」はNG

大前提として人数有利時は比率が1を下回るため基本的には勝負しない方がよいということになります。その中でも比較的1に近い(>0.85)時はもし勝負をしてしまってもデメリットが少ない時と判断すると「甘え」があってもリスクが低い人数状況を考えることができます。

分析の結果アタッカー側では3vs2の時にデメリットが比較的少ないことがわかりました。このことからアタッカー側は3vs2は「甘え」があっても比較的リスクが低いと考えることができます。勝負に負けて2vs2になるデメリットと比較して勝負に勝って3vs1になるメリットの大きさを考えると、デメリットが比較的少ないことも納得がいきます。

ディフェンダー側では5vs4、5vs3、4vs3の3パターンでデメリットが比較的少なくて、アタッカー側と比較すると大人数時にデメリットの少ないシーンが偏っていることがわかります。このことからディフェンダー側は大人数&人数有利なら「甘え」があっても比較的リスクが低いと考えることができます。

結論:データからわかった「勝負すべき人数状況」

この記事のまとめ

最後にこの記事をまとめます。

分析のまとめ
  • 人数有利時は勝負しない方がよい、人数不利時は勝負する方がよい。
  • ディフェンダー側で味方が5人いるときは勝負しない方がよい。ただし他の人数状況とは異なる特殊なケースが存在する。
  • 1vs1ではアタッカー側は勝負しない方がよい、ディフェンダー側は勝負する方がよい。
  • 基本的に「甘え」はNG。ただしアタッカー側は3vs2、ディフェンダー側は大人数時は比較的甘えたことによるデメリットが少ない。

さいごに

ここまで読んでいただきありがとうございました。この記事が少しでも参考になればうれしいです。この記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでこの良ければ読んでみてください。またXでもこの記事についてのことやそのほかの分析を行っているので良ければ是非フォローをお願いします。それではまだ次回。

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