こんにちは。今回はいつもとは少し視点を変えてVALORANTをプレイしたり観戦するうえで役立つ指標の意味や指標から考察できることをまとめていきます。これまでの記事も併せて紹介するのでこれから分析を始めたい方やVALORANTをより面白くプレイ・観戦したい方は是非読んでみてください。
今回の記事はかなり分量が多くなってしまいましました。まとめをいつもより丁寧に書いたので全体的に流し読みしたい方はまとめを読むことを推奨します。
ゲーム内で見ることのできる指標
まず初めにVALORANTのゲーム内で見ることのできる指標を紹介します。VALORANTをプレイしたことのある人であれば必ず見たことのある指標だと思うので意味まで知っている方も多いかと思いますが改めて意味を知ることで新たな発見があるかもしれません。
ACS
VALORANTをプレイしている人なら誰しもが知っている指標であるACSについて紹介します。ACSはアベレージコンバットスコアの略でコンバットスコアの平均値をとった値です。コンバットスコアはラウンドごとに計算される値で以下の条件のもと1ラウンドあたりのコンバットスコアは決まります。
コンバットスコア=ダメージポイント+キルポイント+アシストポイント
・ダメージポイント
相手に与えたダメージの合計
1ダメージ = 1ポイント
・キルポイント
キルによって獲得できるポイント。キルの順番によって獲得値が変わる。
1人目のキル 150ポイント
(ファーストブラッドではなく自チーム内で発生した最初のキル)
2人目のキル 130ポイント
3人目のキル 110ポイント
4人目のキル 90ポイント
5人目のキル 70ポイント
連続キル
前回のキルから5秒以内に次のキルをとるとボーナス加点 50ポイント
・アシストポイント
ダメージがないスキルによるアシスト 25ポイント
ACSはVALORANTにおいて最も有名な指標の一つであり、フィジカルや連続キルを生み出す爆発力のような力を測るのに適した指標です。しかし使い方によっては誤った考察につながる難しい指標だと考えています。特に異なるロールのプレイヤーを評価するときには注意が必要です。上の計算方法を見てわかる通りACSではキルに対してアシストに付与されるポイントがかなり低いです。そのためイニシエーターを使うプレイヤーはACSが低く出る傾向にあります。アシストも加算されているからと言ってACSだけでプレイヤーを評価することはあまりお勧めしません。
ACSの特徴をまとめると
ACSからわかること
- 撃ち合いの強さ(フィジカル)
- 連続キル(爆発力)
ACS使用時の注意点
- 異なるロールの評価
私の過去のACSを使った分析でも他の指標も交えて分析しています。
KDA
多くの人が自分のパフォーマンスを見るうえで参考にする指標であり、多くのFPSで共通する指標であるため馴染みのある人が多い指標であるKDAはその意味も直感的に理解しやすい指標です。KDAは以下のように計算されます。
KDA=(キル数+アシスト数)/デス数
KDAも様々なFPSで用いられる指標として有名であり、解釈しやすい指標です。先ほどのACSと比べるとアシストの比重が大きくサポートロールの選手を評価する際にはよくACSやKDではなくこのKDAが用いられることが多い印象です。一方、キルとアシストを同等に評価するのはこの指標の問題点の一つと考えます。
実際、キル、アシストをいい感じに評価できる計算はかなり難しいと思ってます(良い指標を知っている方がいたら教えてください…‼︎)
KDAの特徴をまとめると
KDAからわかること
- サポートロールのプレイヤーの評価
KDA使用時の注意点
- キルとアシストが同等に評価される点
ECON RATING
見たことあるようでないような指標であるECON RATINGは武器購入時のクレジットに焦点を当てた指標になります。VALORANTにおけるECON RATINGは「1000クレジットあたりのダメージ数」を意味しており以下の計算式で求められます。
ECON RATING=試合全体でのダメージ数 / (試合全体で使ったクレジット/1000)
ゲーム内で見れる指標ですがあまり注目されることがないこの指標、理由は解釈が難しいためだと考えています。キルされない立ち回りやクレジット管理ができているプレイヤーがECON RATINGが高くなることから、少し噛み砕いてこの指標を表すとしたら俗にいう「”偉い”プレイ」ができたかを表す指標だと個人的には考えます。
また日本の公式大会では最も高いECON RATINGを獲得したプレイヤーに松井証券から贈られるMATSUI賞があります。直近のVALORANT Challngers Japan split2 Playoffs ではRIDLLE ORDERのJoxjo選手が獲得していました。
ECON RATINGの特徴をまとめると
ECON RATINGからわかること
- 「”偉い”プレイ」ができているか
FIRST BLOODS/PLANTS/DEFUSES
FIRST BLOODS, PLANTS, DEFUSESはそれぞれファーストキル数、設置数、解除数を示します。特に計算式はなく、カウントする形式の指標なのでここでの紹介はここまでに留めます。
観戦時に見ることのできる指標
次に競技シーンなどで目にすることのある指標について紹介します。ACSなどが注目されがちですが観戦時にはゲーム内では見ることのできない指標がいくつかあるのでこの記事をきっかけに興味を持っていただけると嬉しいです。
DMG/RND
DMG/RNDは「ラウンドごとダメージ数」です。計算式もそのままで以下のように計算できます。
DMG/RND=ダメージ数/ラウンド数
DMG/RNDはキルには結びつかなかったものの撃ち合いやスキルによって与えたダメージが含まれることやある程度ラウンドごとのキル数が直感的に理解しやすいため競技シーンのスタッツ紹介で表示されることが多いです。
ACSと比較するとキルとまではいかなかったダメージやアシストとなったダメージなどを包括的に見ることができる指標であることからキルとアシストが良い塩梅で表れている指標だと個人的には考えます。その一方でDMG/RNDを見ただけではキルなのかアシストなのか推測しづらい指標であることやフラッシュや索敵等のダメージを伴わないスキルは加算されない点に注意が必要です。
DMG/RNDの特徴をまとめると
DMG/RNDからわかること
- キルとアシストを含めた総合的な評価(フラッシュ等のスキルは除く)
DMG/RND使用時の注意点
- 見ただけではキルなのかアシストなのか推測しづらい点
- フラッシュや索敵等のダメージを伴わないスキルは加算されない点
HEADSHOOT%
HEADSHOOT%(HS%)は撃った銃弾が頭部にヒットした割合を示します。HS%はTracker.ggなどで自身のデータを見ることができることから自分のHS%がいくつなのか確認したことがある人も多いかと思います。正確な計算式は調べた範囲では見つかりませんでしたがトラッカーサイトでは下記のような計算式になっており、競技シーンでのHS%と大きな差はないことから同じ計算式を採用していると考えられます。
HEADSHOOT%=頭部にヒットした銃弾の数/敵にヒットした銃弾の数
HS%では撃ち合いの「正確さ」を評価する際に適した指標になります。VALORANTにおいて正確さはかなり重要なのでこの指標に注目することは分析を行う上で必要事項の一つです。ただしHS%はフィジカルの強さを示す値ではないことに注意が必要です。キル数が少ない場合にはヒットした銃弾の数が少ないことからHS%がばらつくことがあります。その結果HS%が上振れてキル数が少ないのにHS%が高いという現象が発生します。HS%を見るときには合わせて前述したACSや後述するADRと合わせて見ることが必要になります。
HEADSHOOT%の特徴をまとめると
HEADSHOOT%からわかること
- キルとアシストを含めた総合的な評価(フラッシュ等のスキルは除く)
HEADSHOOT%使用時の注意点
- 見ただけではキルなのかアシストなのか推測しづらい点
- フラッシュや索敵等のダメージを伴わないスキルは加算されない点
KAST
KASTはゲーム中では見ることのできない指標ですが、競技シーンやTHESPIKE.GG などで確認することできる指標です。個人的にはサポートロールの選手がハイライトされるときに表示されることが多い印象です。KASTは「Kill Assist Survived or was Traded」の略で直訳すると「キル、アシスト、生存またはトレード」となります。KASTについても正確な計算式は公開されていませんが、キル、アシスト、生存、トレードキルを行ったラウンドを総ラウンド数で割った値だと言われています。(「VALORANT KAST」と調べるといろいろな記事がヒットします。)
KAST=(キルしたラウンド数∪アシストしたラウンド数∪生存したラウンド∪トレードしたラウンド数)/総ラウンド数
KASTはプレイヤーの総合力を見るうえでは最もよく用いられる指標です。キルはもちろんスキルや生存やトレードなど「偉い」プレイも含めて評価できる点はKASTの優れた点であると言えます。一方で注意点としてはキル、アシスト、生存、トレードが同等に扱われているため1キルと1生存が全く同じ評価になってしまう点です。KASTだけではキルが多いのかアシストが多いのか判別するのは難しいので他指標と併せて見ることが必要になります。
KASTの特徴をまとめると
KASTからわかること
- プレイヤーの総合力(スキルなども含む)
KAST使用時の注意点
- キル、アシスト、生存、トレードが同等に扱われている点
- キルが多いのかアシストが多いのか判別するのは難しい点
外部サイトで見ることのできる指標
最後にTHE SPIKE.ggやRIB.ggといった外部サイトで見ることで見ることのできる指標を紹介します。これらの外部サイトでは前述したゲーム内で見れる指標や観戦時に見れる指標も見ることができるので私の場合何かデータを見たいときは外部サイトを利用しています。
ADR
ADRは「Average Damage per Round」の略でラウンドごとのダメージ数を計測したデータになります。THE SPIKE.ggやRIB.ggといった外部サイトで見ることのできる指標で、撃ち合い以外にもスキルによるダメージも計上されます。THE SPIKE.ggではADRについて解説している記事もあります。
VALORANTにおいてADRとは「Average Damage per Round」の略であり、自分がプレイした各ラウンドでどれだけの影響を持っているかを確認するための最も重要な要素の一つです! 確かに、あなたがキルジョイとしてアセントのBサイトを守っていて、相手がAサイトにフルラッシュして全滅するようなラウンドもあるでしょう。その場合はあまりダメージを与えることができないかもしれません。しかし、ジェットを使いスプリットでミッドに突っ込んでしまい、何度も死んでしまう場合は、ADRがほとんどない状態になってしまうでしょう。 ADRは、各ラウンドでの平均ダメージ量を記録します。これには銃撃によるダメージや能力のダメージも含まれるので、ヴァンダルの一撃ヘッドショットやフェニックスのホットハンズの火傷ダメージもADRを増やすことになります! ただし、ADRだけを統計データとして完全に頼ることには注意が必要です。なぜなら、ゲームごとにその値は変動するからです。前述したように、フェニックスのホットハンドは他のプレイヤーにダメージを与えるだけでなく、彼自身の回復にも使われます。また、彼のアルティメットスキルであるランイットバックも敵が倒せるフルヘルスのエージェントをもう一度出現させるため、ADRに影響を与えます。 これと同じような例として、レイナのようなヒールとデバウアー、セージのヒーリングオーブとアルティメットスキルであるリザレクションも挙げられます。これらの要素により、特定のゲームやラウンドでADRが膨れ上がることがあります。
(https://www.thespike.gg/jp/valorant/gaido/valorantnoadrtohaより)
そんなADRの計算式は下のようになります。
ADR=合計ダメージ数/プレイしたラウンド数
ADRはダメージに限定した指標であるため解釈しやすい一方で、デュエリストとサポート役で差が顕著になることからよりサポートによる寄与度を加味したACSが一般的になっています。しかしデータ分析を行う上では解釈容易なADRは有用であり私の記事でも何度かADRを使用した分析を行っています。
ADRの特徴をまとめると
ADRからわかること
- プレイヤーの撃ち合いの強さ(フィジカル)
ADR使用時の注意点
- デュエリストとサポート役で差が顕著になってしまう点
FBSR
FBSRは「First Blood Success Rate」の略でファーストブラッドの成功率を意味します。THE SPIKE.ggで見ることのできる指標で、各ラウンドで初めて接敵した際の勝敗から計算されます。計算式は以下の通りです。
FBSR=FB数/(FB数+FD数)
FBSRも比較的解釈がしやすい指標だと考えています。FBだけに注目したい場合この指標以上に適した指標はないと考えます。デュエリストを評価するうえでこの指標は非常に有用だと思うのでデュエリストを使っている方は一度自分のFBSRを見てみるとよいかもしれません。強いて注意点を上げるとするならばFBというかなり限定的な場面を想定した指標なので包括的な評価が難しい点です。
FBSRの特徴をまとめると
FBSRからわかること
- FBを獲得する力
FBSR使用時の注意点
- 包括的な評価が難しい点
おわりに
最後に今回紹介した指標をまとめます。
ゲーム内の指標
ACSからわかること
- 撃ち合いの強さ(フィジカル)
- 連続キル(爆発力)
ACS使用時の注意点
- 異なるロールの評価
KDAからわかること
- サポートロールのプレイヤーの評価
KDA使用時の注意点
- キルとアシストが同等に評価される点
ECON RATINGからわかること
- 「”偉い”プレイ」ができているか
観戦時の指標
DMG/RNDからわかること
- キルとアシストを含めた総合的な評価(フラッシュ等のスキルは除く)
DMG/RND使用時の注意点
- 見ただけではキルなのかアシストなのか推測しづらい点
- フラッシュや索敵等のダメージを伴わないスキルは加算されない点
HEADSHOOT%からわかること
- キルとアシストを含めた総合的な評価(フラッシュ等のスキルは除く)
HEADSHOOT%使用時の注意点
- 見ただけではキルなのかアシストなのか推測しづらい点
- フラッシュや索敵等のダメージを伴わないスキルは加算されない点
KASTからわかること
- プレイヤーの総合力(スキルなども含む)
KAST使用時の注意点
- キル、アシスト、生存、トレードが同等に扱われている点
- キルが多いのかアシストが多いのか判別するのは難しい点
外部サイトでの指標
- プレイヤーの撃ち合いの強さ(フィジカル)
ADR使用時の注意点
- デュエリストとサポート役で差が顕著になってしまう点
FBSRからわかること
- FBを獲得する力
FBSR使用時の注意点
- 包括的な評価が難しい点
今回はVALORANTをプレイしていて目にする各指標について紹介しました。VALORANTのプレイ中や競技シーン観戦中にわからない指標があればぜひこの記事に戻って読んでもらえると嬉しいです。また今回紹介した指標以外にも知っている指標があれば私のXや下のコメント欄で教えていただけると嬉しいです。この記事のほかにもVALORANTの分析を行った記事を書いているのでこの良ければ読んでみてください。またXでもこの記事についてのことやそのほかの分析を行っているので良ければ是非フォローをお願いします。それではまだ次回
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